NEDO、太陽電池開発支援で有機薄膜など24件採択

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2025年度から太陽光発電の導入拡大に向けた「太陽光発電導入拡大等技術開発事業」を開始する。9月9日、同事業の研究開発テーマ20件および動向調査テーマ4件の計24件を採択したと発表した。

 同事業は、3月に策定した太陽光発電の大量導入後の社会課題を見据えた技術戦略「太陽光発電開発戦略2025(NEDO PV Challenges 2025)」に基づき、次世代太陽電池や設置場所に応じた太陽光発電システム、太陽光発電の長期安定電源化技術、太陽電池モジュール(太陽光パネル)のリサイクル技術を開発する。6つの研究開発項目で公募した。

 研究開発項目I「次世代型太陽電池技術開発」では3件を採択。PXPが実施する「ペロブスカイトCIS軽量タンデム太陽電池モジュールの開発」は、ペロブスカイトCIS(カルコパイライト)軽量タンデム太陽電池の変換効率・耐久性の向上とともに、大面積モジュールに取り組む。主に産業用建物の屋根、営農、移動体、道路・通信インフラ市場をターゲットとした新領域への拡大を目指す。事業期間は2025年度〜2029年度の予定。

 このほか「高効率高耐久性多接合太陽電池モジュールの開発」(カネカ)、「次世代型太陽電池の総発電量向上と長寿命化技術の開発」(東芝エネルギーシステムズ、京セラ)を採択した。

 研究開発項目II「設置場所に応じた太陽光発電システム技術開発」では5件を採択。三井住友建設、中国電力、中電技術コンサルタントが実施する「浮体式洋上太陽光発電システムの研究開発」は、浮体式洋上太陽光発電システムの動揺解析・構造解析・模型実験で安全性を評価し、安全性を担保した設計手法を確立する。社会実装を想定した環境下で1年間を通した実証試験を行い、安全性や発電の安定性、周辺環境への影響を確認する。事業期間は2025年度〜2028年度の予定。

 麗光と中国電力が実施する「シースルー型有機薄膜太陽電池モジュールシステムの開発」は、太陽光発電主力電源化技術開発事業(FY2023〜FY2024)で開発した裏面透明電極のシースルー型フレキシブル有機薄膜太陽電池(OPV)モジュール技術をさらに発展させた高性能モジュールを開発する。発電コストを現状の開発技術の約4分の1、変換効率10%以上、可視光透過率20〜40%、実環境で10年相当の耐久性を目標とする。事業期間は2025年度〜2029年度の予定。

 DIC、MORESCO(モレスコ)、アイテムが実施する「農業ハウスに搭載して快適な農業と収穫量向上に貢献する太陽光発電技術の研究開発」は、植物の光合成色素が緑色吸収特性の低いことに着目し、発電と作物育成を両立する波長選択型有機薄膜太陽電池の有機半導体およびモジュールの開発、設置・施工・維持管理方法を開発する。農地利用との競合といった適地成約を解消する。事業期間は2025年度〜2029年度の予定。

 このほか「多様な設置場所に応用可能な薄膜太陽電池のシート状架台による施工方法の開発」(日揮)、「商用車用太陽光発電システムの研究開発」(システック、パワーエックス、セブン-イレブンジャパン)を採択した。

 また、研究開発項目III「発電設備の長期安定電源化技術開発」では3件、同IV「循環型社会構築リサイクル技術開発」では2件、同V「共通基盤技術開発」では8件、同VI「動向調査研究」では4件の研究開発・調査テーマを採択した。

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