浅尾慶一郎・環境大臣は、8月29日に行われた記者会見において、太陽光パネルリサイクル法案について、これまで検討してきた制度での義務化を断念したことを明らかにした。今後、制度案の見直しを視野に入れた検討作業を進めていく。
同制度は、使用済み太陽光パネルを素材ごとに分解処理する再資源化に関する費用負担などを定めたもの。中央環境審議会が3月28日に行った意見具申では、拡大生産者責任の考え方を踏まえ製造業者などに負担を求めた。また、今後排出が見込まれる既設の太陽光パネルについても、今後パネル製造などを行う業者に負担を求めるとしている。
しかし、他のリサイクル関連法案では所有者負担とされている点との整合性などの指摘を受けており、内閣法制局とも相談しながら法制的な観点から検討を進めてきた。その結果、太陽光パネルの埋め立て処分とリサイクル費用の差額が現状大きいなかで、自動車や家電などの他製品と異なり太陽光パネルのみ製造業者に差額負担を義務化することに、現時点では合理的な説明が困難と判断した。
今後、適切な時期に中央環境審議会に報告し、意見を求めた上で改めて制度設計の見直しを進めていく意向。具体的な見直しの方向性や具体的な提出時期については、現時点では示せる段階にないとしている。また、制度の検討と並行して、概算要求に太陽光パネルのリサイクル技術の実証、リサイクル設備の設置補助などに必要な予算を計上する。